インタビュー

INTERVIEW

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「守備範囲の広さ」を武器に、若者の未来をひらく。若者にチャンスが巡る会社をめざして

株式会社シュビヒロ 代表取締役 三原拓大(みはら たくと)

株式会社シュビヒロは、YouTubeや各種SNSの運用代行をはじめ、Webサイト制作、デザイン、システム開発までを一気通貫で担う制作・運用会社だ。 代表の三原は、大学生や20代を中心とした約400名のメンバーとともに、中小企業の発信や集客の土台づくりを支えながら、「若者にチャンスが巡る組織」をつくり続けている。 大学生のころ、休学して飛び込んだパソコン教室で店長を任され、100名を超える生徒管理や研修、スタッフマネジメントを学生ひとりで担った経験は、「若い挑戦をもっと許容する社会をつくりたい」という思いを静かに育てた。 その原点から生まれたのが、現在のシュビヒロである。 “守備範囲の広さ”を武器に中小企業の土台を支えながら、若者が挑戦できる現場を増やす。その両立こそが、25歳で会社を率いる三原の意思決定の軸になっている。

学生店長として見た、“人に支えられる組織”

三原のキャリアが大きく動き始めたのは、大学入学からわずか3カ月で休学を決めたときだった。飛び込んだ先はパソコン教室。7歳から自作PCを組み、高校時代はエンジニアとしてアルバイトをしていた知識を生かし、教室長として2年半、店舗運営を一手に担った。 パートスタッフ、新入社員、アルバイトなど、年齢も経験も異なるメンバーをまとめながら、愛知県エリアの研修担当も兼務するなど、教育マネジメントにも深く関わった。 現場は決して甘くなく、スタッフがひとり辞めれば店長の休みはなくなり、採用コストは利益を圧迫し、シフトの穴は自ら埋めるしかなかった。こうした日々が、「人を大切にする」という価値観を三原に根づかせた。 1,000名を超える生徒管理の効率化をめざして自作した管理システムや、解約率改善・スタッフ満足度調査への取り組みなど、現場で培った工夫は現在の経営にも色濃く反映されている。 「趣味が強みに変わっただけ」と語る彼だが、学生時代に味わい尽くした組織運営のリアルが、意思決定の基準を形づくる強固な土台となった。

挫折と出会い。破産寸前から秘書へ

休学期間を終えて大学に戻ったものの授業はほとんどなく、手持ちぶさたな時間が続いた。20歳のとき、オンラインのパソコン教室を開業し、日本政策金融公庫から240万円を借りて教材や設備を整えたが、問い合わせは3件にとどまった。 さらにアパレル事業にも挑戦し、広い家を借りて在庫を抱えたものの事業は伸びず、行き詰まる。打開策を探すなかで、YouTubeで林尚弘氏の“秘書募集”を知り、応募を決断。100名の候補者から採用されるため、出演動画を徹底的に分析し、独自の企画書を量産するなど、緻密な戦略を立てて挑んだ。 採用後は、林氏が手をつけられない業務を幅広く引き受け、多様な領域を経験した。このプロセスこそが、現在のシュビヒロが持つ「制作代行・伴走支援」の事業モデルにつながっている。事業家としての姿勢、組織運営のあり方、信頼構築の方法――多くの原点がここで培われた。

挑戦と危機。400名を束ねる組織をどう守るか

シュビヒロは、YouTube運用、SNS運用、Web制作、デザイン、システム開発まで“守備範囲広く”支援する制作会社として急成長を遂げた。大学生を中心とするメンバーは数百名にのぼり、業務委託を含めた毎月の振込件数は400件を超える。 若いメンバーが中心であるため、誤字や脱字などのミスは起こりやすい。三原はクオリティに過度な期待を抱かせず、誠実な関係を築くために、自社の「期待値を下げる姿勢」をあえて明確に示し、透明性の高い運営を行ってきた。 一方、組織拡大の裏側では、経理体制の崩壊という重大な危機が発生した。請求書の遅延、外注費の過払い、キャッシュ不足――会社が傾きかねない状況のなか、支援者から厳しい提言も寄せられ、精神的にも大きな負荷がかかった。 SNS代行会社として前例がほとんどない規模ゆえ、適切な管理体制の“正解”が示されないなかで、三原が選んだのはゼロからの再構築だった。kintoneを用いて1カ月で業務フローを刷新し、オペレーション全体を再設計した。この決断は単なる業務改善ではなく、組織に関わるすべての人を守るためのものだった。

若者が挑戦できる“もう一つの道”をつくる

三原が組織づくりの中心に置いているのは、休学中に経験したパソコン教室での学びだ。スタッフがひとり辞めるだけで現場が崩れる現実を知っているからこそ、「採用コストをかけるよりも、今いる人の満足度を上げること」を重視する。 その思想は、シュビヒロの若手育成にも反映されている。大学生や20代に制作機会を開き、中小企業の経営者との接点をつくり、挑戦の場を広げる。成果報酬モデルでモチベーションを高めつつ、過度な期待を負わせず、失敗を許容する環境を整えてきた。 三原が描く未来は、若者が進路を選べる社会だ。奨学金の負担を抱え、就職一択の流れに飲み込まれるのではなく、もう一つの道があっていい。自身が学生時代に得た機会を次の世代に返したい。その思いが、事業の根底に流れている。 シュビヒロの“守備範囲”は、これからも広がり続ける。その中心には、人を信じ、人に支えられ、そして人へ還元しようとする三原の姿勢がある。