「ストレッチを文化にする使命 — 姿勢から未来を変える挑戦」
STORY 1|「社会のために生きる」と決めた少年院の春

「若い時に社会と家族にたくさん迷惑をかけた」 暴走族の仲間とつるみ、少年院に送致されその場所で過ごした日々。 そこが、兼子の人生の大きな曲がり点になった。 厳しい生活の中で兼子が学んだのは、「自分のため」だけに生きる虚しさだったという。 存在価値を示したくて乱暴を重ねても、残るのは後悔と空虚さだけ。そんなとき、指導員や支援者の言葉を通じて、「社会のために動くことが一番の満足につながる」という考えに出会い感銘を受けた。 そして19歳の春、暴走族仲間と縁を切り、単身上京。 地元から逃げるように飛び出した東京で、兼子は営業会社に飛び込んだ。 3,000人規模の会社で、兼子は徹底的に話術と心理学をたたき込まれ、やがて3年連続で日本一の営業成績を収めるまでになる。 一方で、心のどこかに「身体を使う仕事がしたい」という思いもくすぶっていた。 格闘技に挑戦し、新日本キックボクシング協会フェザー級ランキング2位まで上り詰める。 ハードな練習と試合を重ねる中で、彼の関心は次第に「人の身体はどこまで変われるのか」「より安全で、効果的にコンディションを整える方法はないか」へと移っていく。 自分の身体で実験しながら、人の役に立てる道があるかもしれない── その直感が、ストレッチと出会う入口だった。
STORY 2|「ストレッチを文化に」──非行少年が研究者になるまで
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STORY 3|神経まで伸ばす“Kanekoストレッチ”という挑戦
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SSSのストレッチは、「Kanekoストレッチ」と名づけられている。 アメリカで発展したリハビリテーション手法・PNF(固有受容性神経筋促通法)をベースに、兼子が独自開発したメソッドだ。表層の筋肉だけでなく、深層の筋肉(インナーマッスル)や関節、呼吸筋にまでアプローチすることで、姿勢改善や柔軟性向上、慢性痛の軽減を目指す。 スタジオでの施術にとどまらず、兼子は「神経系ストレッチ」という新たな領域にも踏み込んだ。銀座に構える「Kaneko Stretch Physical Clinic」は、筋肉だけでなく神経の滑走性に着目し、慢性的な痛みやしびれ、動きの悪さにアプローチする“神経系ストレッチ専門クリニック”だ。 神経系ストレッチは、従来の「治す」治療ではなく、「加療」という考え方をとる。科学的な理論と方法さえあれば、人間の身体は自ら回復する力を持っている。その力を引き出すための刺激として、神経系を伸張し、筋緊張をとり、循環・呼吸・脳神経系の機能向上を促す―― 現場では、医師から「もう手術するしかない」と言われた人や、長年の慢性痛に苦しむ人たちが訪れる。兼子の神経系ストレッチを受けた直後「人生が変わった」と涙を流すお客様も少なくない。 同時に、兼子はデジタル面でも「身体」と向き合う場を広げている。YouTubeチャンネル「ストレッチトレーナー/理学療法士 兼子ただしch」では、首・肩・腰の痛み、猫背や反り腰など、リアルな悩みに対するセルフケアや施術の様子を公開。2025年12月時点で登録者数30万人超、総再生回数約1億回と、専門分野のチャンネルとしては大きな発信力を持つ。 2001年の創業以来、SSSグループの累計来店者数は時期によって44万人から75万人まで拡大し、全国46店舗(SSS24店舗、神経系22店舗)というネットワークを通じて、「ストレッチを文化に」を全国各地で体現している。
STORY 4|「姿勢教育の義務教育化」という、人生を賭けたゴール
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兼子は「ストレッチとは姿勢教育であり、姿勢教育とは健康教育であり、健康とは幸せを受容する条件である」と常に提唱している。 そのロジックはシンプルだ。 姿勢が整えば、呼吸が深くなり、筋力や柔軟性が適切に発揮される。循環器や呼吸器、脳神経系の機能も上がり、結果として病気のリスクを下げ、生活の質が上がる。 だからこそ姿勢教育は、体育や道徳と同じように「義務教育の一科目」として扱われるべきだと考えている。 兼子は 1. 姿勢教育の義務教育化 2. 健康医学の保険適用化 を目的として掲げ、 この2つが実現すれば、日本は確実に良くなる公益だと語る。 そのビジョンを実現するために、兼子は今も現場での施術を続けながら、セミナーや講演で全国の学校や企業を巡っている。 その取り組みの一環として、約10年前から、子どもたちに正しい座り方や呼吸の仕方を伝え、教師や保護者にも「姿勢教育」という考え方を広める活動を続けている。これまでに訪問した学校は50校以上にのぼり、参加者からは「姿勢を意識するようになった」といった感想が寄せられてきた。最近では、街中で指導を始めた当初に関わった人と偶然再会し、「10年たっても、いまも姿勢を意識している」と嬉しい報告を受けたという。 また、兼子自身の身体を実験台としながら、トライアスロン「Ironman」226kmに挑戦し、4度の完走を果たしてきたというエピソードも象徴的だ。 このトライアスロンでは、膝の前十字靭帯を断裂したままでも完走。 「身体は使い方次第で、ここまで変われる」と語っている。 人生をかける価値のある取り組み、それが『姿勢教育の義務教育化』 非行少年だった過去も、リングで浴びた歓声も、何万人もの身体に触れてきた日々も、すべてはそのゴールへと向かうプロセスだ。 ストレッチで痛みを和らげることは、単に身体を軽くするだけではない。 「痛みが取れたから、また仕事ができる」「姿勢が変わって、自信が持てた」。 そうした小さな変化の積み重ねが、人の人生を静かに押し出していく。 兼子ただしは、今日もストレッチ台の横に立ち続ける。 一人ひとりの姿勢を変えながら、「姿勢教育が当たり前に学ばれる日本」という、少し先の未来を、現実のものにしていくために。